ゾディアック

torippi2007-07-16

デビット・フィンチャーは、危機的な状況に置かれて追いつめられた人物を、
心理描写もしっかり描きながら、緊迫感を持った演出ができる監督で。
彼の作品は期待を裏切らないな〜。
さらに今回の作品はすごくよかった。映画館で観るべき重厚な作品。


まずは、彼のキャスティングのセンスがこの作品の成功に導いたんだろうな〜。
ジェイク・ギレンホール、ロバート・ダウニーjr、マーク・ラファーロ、クロエ・セウ゛ィニー。
決してハリウッドのS級映画の主役をはる役者ではないんだけど、本当に力と、
スクリーンに映ったときの、立体感、存在感がハンパじゃないので、彼らと1970年代
の実際におきた、アメリカでのおぞましい事件に立ち会っている錯覚にさえなる。
しかも、映画館がなんか蒸し暑くて、なんとなく酸素が少ない気がしていたのでぐいぐい
その息苦しい現場にいる気分になってくる。
…でも、ふと気付くと、寒いのか借りた膝掛けを肩までかけてたな〜。


2時間半という、1日に3回しかまわせない配給からいやがられそうな長さなんだけど、
それがまたいい!
男たちは、「ゾディアック」という猛烈に負の力をもった得体のしれない人物にのめり
込んでいってしまって、しかも20年にも及ぶ追跡をするので、出来事ごとにフェイドアウト
アウトして黒でおとして何年後かに移行するという表現で進行しているのです。
それが、次の展開への期待と犯人追跡にも似た執着心を持たせ、客を飽きさせないのです。
そして、じっくりと登場人物の心理描写や行動を描いていくので、ぐいぐい引き込まれて行く。
それが、とても心地よい時間になっていくのです〜。


監督が、インタビューで言っていたのですが、スタイリッシュな映像を今回使用しなかった
のは、スティーブン・ソダーバーグに相談して、観客が情報を追う作品で、そういうスタイ
リッシュな映像は邪魔になるからあくまでシンプルにアプローチをした。と。
あくまでも人間とう察に関する映画だと。
このネタだったら、スタイリッシュ的な演出でのみせ方もできただろうに…。
ハリウッドにいる数少ない骨太監督ですね!!より一層すきになりました。