男はつらいよ。

自称平成の寅さんとは、わたくしの父のことでして。
しょっちゅう、電話してくるし、私もしょっちゅう電話しているので、大体最近何してるのか。っていうのも、分かるはずなんだけど、
なんせ、寅さんなので、どこにいるのか分からないのです。とりあえず、国内にいるかな。と思えば、海外にいることもあるので、油断なりません。

そんな父が今日電話してきたのですが、何かと思えば
「ひつまぶしってウマイな〜。ということを、伝えたかったんだよ〜。」
だ、そう。
「ふーん。何してんの？」
「俺か？！俺は今名古屋だ！それがよー、俺も東京でひつまぶしを食ったことはあるんだけど、こんな完成されたひつまぶしは今まで食ったことがないねー。このバランス！さすが、８５年の歴史があるだけのことはあるな〜。おまえらにも食わせてやりたいと思ってよ。」
と、家族の名前をいちいち全員言って、食わせてやりたいと言っておりました。
ひつまぶしって、そんなにおいしいものなのでしょうか？わたしは生まれてから一度も食べたことがないので、分かりません。

「ふーん。」と、聞いていたら、トークがヒートアップしてきてしまいました。
「俺もよー、まだまだだよなー。まだまだ肝が据わってんだよなー。」と、しきりに自分に感心しているので、

「どうしたの？」と、聞いてあげたところ
「それがさ、聞いてくれる？○○さんが（父の知り合い）上京しててよ、フィリピンパブで騒動起したんだよ〜。電話がかかってきてさ、しょーがねーからよ、俺、行ってやったんだよ。そしたらさ、あっちも、なーんだか俺を見てビビッてさー。アハハハハ！俺、今髪短いからさ、その筋の人だと思われたんだろうな。スグに解決よ！俺なんかさ、天命をまっとうするだけって、すべて天にまかせてるからさ、肝が据わってんだよな〜。」
「は？天にまかせるってさ、そんなおかしな知り合いのために、すぐ騒動に片足つっこんでさ、何かあったらバカバカしいから、やめときなよ。そんなこと。」
自分はいいかもしれないけど、周りの人が悲しむようなことに首はつっこまないで欲しいものです。

わたしは、父は聞く耳をもたないということも２７年の付き合いで分かっておりまして、言い合ってるとイライラしてくるので半歩下がりつつ、半歩下がりつつも猛烈に父の天命論に反発しました。が、まぁ聞いてないんだろうな〜。と、思っていますと、
「車に気をつけろよ！」
いつもの決まり文句をいい放って、私がしゃべってる途中にも関わらず電話は切れてました。
今日は、そんなことがありました。
これが、私の大事な父こと、自称平成の寅さんです。
あれ？自称平成の寅さんこと、私の大事な父です。